人間は大昔から魔法の力に取り憑かれていた。
死を克服したり、運命を操ろうとしたり、運命に逆らおうとしたり。
「伝説にはいつも根拠がある」
これはハーマイオニーのセリフだ。
J・K・ローリングも昔から図書館にこもってよく書物を読んでいたそうだ。
今日は歴史的書物を引用しながら、実際に人々に信じられていた魔法の歴史を紐解いていていく。
賢者の石の精製に成功した男
「不老不死」は中世の錬金術師が命をかけたテーマだった。
『ハリーポッターと賢者の石』に登場する賢者の石の作者「ニコラス・フラメル(Nicolas Flamel)」は実際に存在する人物だ。
フラメルはパリで錬金術を研究しており、賢者の石の製造に成功したという伝説がある。
ちなみに、フラメルは不老不死にならなかったようだが、彼が1407年にパリに建てた家は、今でもパリで最も古い建物として残存していて、レストランとして活用されているらしい。
“…Flamel. Nicolas Flamel. Where are you?” – #HarryPotter #TheSorcerersStone #ElixirOfLife pic.twitter.com/8SpeWxiWoZ
— Harry Potter Film (@HarryPotterFilm) May 22, 2015
マンドレイクは存在する
『ハリー・ポッターと秘密の部屋』で、解毒剤の材料として強力な治療薬の効能を持つ「マンドレイク」が登場する。
マンドレイクは別名マンドラゴラと呼ばれ、実際に存在する植物だ。
1474年に書かれた書籍「Tacinum Sanitatis(健康全書)」にはまさに根っこの形が人間の形をしている挿絵が描かれている。実際にマンドレイクの根の部分は人の形に似た形状をしており、当時の伝説では二股に分かれた根を足のようにして徘徊するとされていた。
また地面から引き抜いた際には凄まじい悲鳴を上げ、正気を失ってしまうという伝承も存在する。
Don't tell anyone, but I'm really fond of the Herbology room in Harry Potter: A History of Magic.
It's been intriguing to discover how many visitors didn't realise mandrakes were a real thinghttps://t.co/f63bvJk9Wn#BLHarryPotter #curatorschoice pic.twitter.com/Yd06QfGZSG
— Julian Harrison (@julianpharrison) January 18, 2018
古くから鎮痛剤や便秘薬の薬草として用いられていたが、幻覚を伴う麻薬効果があり、場合によっては死にいたるほどに毒性が強いため、現在薬用には使用されていない。
伝説に語られるようなマンドレイクの特徴は、この幻覚作用によって生まれたのかも知れない。
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— Grow Your Own (@GYOmag) April 20, 2020
植物学を作った男
ホグワーツの授業科目には薬草学が登場するが、歴史上の薬草学はいつ生まれたのだろうか。
かつては医者だけが医療の知識を持っていて特別な知識とされていた。
しかしニコラス・カルペパーという男が「カルペパーのハーブ辞典」を1654年に庶民に広めたことで、庶民が薬草学を学べるようになった。
「カルペパーのハーブ辞典」では薬草を煮て薬を作る方法について事細かに記されている。
J・K・ローリングもこの書物には影響を受け、ハーブの名前に由来したキャラクターの名前などもあるそうだ。ハリーも物語の中でよく薬草学の本をよんでいた。
the potions classes with slughorn and harry as the best student are so funny. just look at the other students faces when he won the felix felicis potion, especially hermione pic.twitter.com/z1WzIkVSvx
— harry potter pics (@bestpotterpics) December 16, 2018
死の呪文アバダケダブラの語源
「アバダケダブラ」は許されざる3つの呪文のうちの一つで、『死の呪文』である。
その語源は「アブラカタブラ」で紀元前の古語の一種「アラム語」だ。
もともとはローマ時代にのマラリアをから身を守る呪文として唱えられていた。
病気を予防する「おまじない」のような存在だ。
闇の魔術として登場する「アバダケダブラ」とは正反対のように思えるが、語源のabracadabraは「それを破壊する」という意味らしいので、その意味で使われているのだろう。
"Voldemort" by nicolasammarco https://t.co/6IKbCTcE4W
— ポッターポータル (@hpsfan_com) December 4, 2018
変身の呪文に関する文献
どんな国や社会にも魔法や神秘的な出来事を信じる風習がある。
アフリカの文献にエチオピアの古代語ゲエズ語で書かれた文章が見つかった。
”ライオンに姿を変えたいのならば上記の呪文を唱えて絹にそれを書き我の頭に巻け。もし蛇に姿を変えたいのならば、これを書きそなたの手首に巻け。”
エチオピアのゴンダールで見つかったこの書物にはアフリカの視点から見た魔法の世界が記されている。
エチオピアでは5世紀頃に魔術が禁止されたという歴史的背景があるため、本書は貴重な書物となっている。
このアフリカの文献には「闇の魔法に対する防衛術」などについて記されており、ホグワーツの授業の内容に非常に似ているそうだ。
"The Polyjuice Potion allows the drinker to transform himself temporarily…" #HarryPotter #AppearancesAreDeceiving pic.twitter.com/1MsLOVjOva
— Harry Potter Film (@HarryPotterFilm) October 2, 2015
魔女といえば大釜、の起源
「魔女」という言葉を聞くと最初に必ず「大釜をかき混ぜる鼻の曲がった老婆」を思い浮かべるのではないだろうか。
魔法使いと闇の魔法についての書物にはでっち上げのものが多い。
世界で最初に大釜を使う魔女の挿絵が使われたのは1489年ウルヒリ・モリトルの書物だ。
その最初の書物が100年後にも再販される人気(?)な書物となり、世界中にそのイメージを広げることとなったそうだ。
Witches brewing up a storm in 1489, in Ulrich Molitor’s De Lamiis et Pythonicis Mulieribus, in our @CPPHistMedLib. October 31 we’re hosting a special screening of Häxan a 1922 silent movie about witchcraft and hysteria through the ages. Come if you dare! https://t.co/hBI5g25Wj5 pic.twitter.com/9nL1BfBUur
— Mütter Museum (@MutterMuseum) October 12, 2018
イギリスにある魔法博物館
イギリス南西部コーンウォール地方には魔女伝説が残るボスキャッスルという村がある。
そこにはおそらく世界で唯一であろう『魔法博物館』が存在する。
入り口には箒立てが用意されており、魔法使いのみなさん(?)はそこにパーキングできるらしい。笑
この博物館では実際に魔女・魔術師として生きた人々の道具や生活の記録が残されている。
Boscastle‘s Museum of Witchcraft and Magic is brilliant! Thoroughly enjoyed it but underestimated how long it would take to give everything a proper read! Must go back soon. Could easily spend a good three hours there.#museum #witchcraft #Cornwall pic.twitter.com/hprKrBQkbh
— 〓〓 Siân Esther Powell
(@SianEsther) April 27, 2018
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まとめ
誰しも魔法へ憧れたことがあるのではないだろうか。
魔法というのは「全ての命は繋がっている」という一種の信仰だ。
我々が現代でも占いやおまじないを信じるように、『魔法』は目に見えない形で今日も存在しているのかも知れない。