第42回日本アカデミー賞にて優秀賞最多12部門を受賞し、最優秀賞4部門を獲得した白石和彌監督の作品『孤狼の血』。
R15+指定、ヤクザ絡みの作品ということで現代の人々には少々近寄りがたいかもしれないが、筆者が近年観た映画の中でも群を抜いて感銘を受けた作品だ。
役所広司、江口洋介、矢島健一、田口トモロヲ、石橋蓮司という豪華俳優陣に加え、松坂桃李、中村倫也、阿部純子といった若手俳優陣の魅力も光る。
また、本作については続編も決定しており、公開時期の公式発表はまだないが、2021年春との噂もされている。
東宝の「アウトレイジ」に対する東映の答えがこの「孤狼の血」であるとも評されている本作を今回は解剖していきたい。
Contents
あらすじ
時は昭和63年。加古村組経理である上早稲二郎の失踪事件を担当をしていた呉原東署捜査2課の大上章吾(役所広司)は刑事とは思えない非道な手段を用いて捜査を進めていた。新しく大上の部下として配属された日岡秀一(松坂桃李)は、大上のヤクザとの癒着や横暴な捜査方法に嫌悪感を抱いていたが、ヤクザ間の大きな衝突を防ごうと奮闘する大上の姿を見るうちに日岡は己の考えを改め始める…。
コンプライアンスなんかクソ喰らえ!現在の日本映画を奮い立たせる作品
R15+指定という事から想像できるが、この作品は暴力的で衝撃的なバイオレンスシーンが多く描写されており、真っ向から観賞することができない人もいるだろう。
まずこの映画の始まりは、いきなり「豚のクソを食らわされる」という超過激なシーンから幕を開ける。
もはや観客に「この映画最後まで観れるか?逃げたいか?」と言わんばかりの内容で我々観劇者を挑発している様にもとれる。
その他にも「男性器に埋め込まれた真珠を取り出す」と言う想像を絶するシーンもあり、俳優部の臨場感溢れた演技からも目が離せない。
【エンタなう】暴力、エロス…警察版「仁義なき戦い」 映画「孤狼の血」の圧倒的熱量にシビレた! https://t.co/x7ZPICAOjd
— zakzak (@zakdesk) May 27, 2018
もはやどっちがヤクザかわからない横暴かつ非道な大上(役所広司)の魅力
この映画を語る上で最も外せないのが俳優、役所広司の底知れぬ演技だ。
もはや演技という言葉を使っていいのかと感じさせる、迫力、横暴さ、その影に隠れた悲哀を見事に表現していた。
ヤクザに立ち向かうマル暴の貫禄、雰囲気をどの様にしたらこんなにも体現できるのか。狂気的な芝居にスクリーン越しでも恐怖を感じる。
公開記念トークイベントで「汚れ役ですけど、天使だと思って演じていました。」と本人は語っているが、この「天使」という言葉こそ、大上の正義と悲哀を上手く体現した由縁だろう。
【快挙】役所広司、アジア版アカデミー賞で主演男優賞を受賞https://t.co/fO5KPTqSFx
日本アカデミー賞主演男優賞を受賞した役所が今度は“アジアの顔”に。『孤狼の血』でノミネートされた主演男優賞を獲得した。 pic.twitter.com/5gYhNk43rQ
— ライブドアニュース (@livedoornews) March 17, 2019
この「孤狼の血」の芝居が世界的にも評価され、アジア版アカデミー賞「第13回アジア・フィルム・アワード」にて、最優秀主演男優賞を獲得した役所広司。
原作の続編「凶犬の眼」では、松坂桃李演じる日岡が中心となって展開していくが、映画ではどの様に描かれていくのか楽しみだ。
日本アカデミー賞総なめ!最多の12部門受賞!
この『孤狼の血』は第42回日本アカデミー賞のほとんどの賞を一網打尽にした。
- 優秀作品賞
- 最優秀監督賞(白石和彌監督)
- 最優秀脚本賞(池上純哉)
- 最優秀主演男優賞(役所広司)
- 最優秀助演男優賞(松坂桃李)
- 最優秀助演女優賞(真木よう子)
- 最優秀音楽賞(安川午朗)
- 最優秀照明賞(川井稔)
- 最優秀美術賞(今村力)
- 最優秀撮影賞(灰原隆裕)
- 最優秀編集賞(加藤ひとみ)
- 最優秀録音賞(浦田和治)
日本アカデミー賞最優秀賞
役所広司さん、松坂桃李さん、今村力さん、浦田和治さんおめでとうございます
続編も期待して待っちょれ!#孤狼の血 #凶犬の眼 #白石和彌 pic.twitter.com/PWQDszUJhq— 孤狼の血 (@Korounochi_2018) March 2, 2019
『孤狼の血』を鑑賞した人たちの評価
爽やかも、エロさも、冷徹さも彼は全部出来る。中村倫也はひたすら可愛い。
警察側が主役なので、いわゆる任侠ものではない?けど主役の刑事がヤクザ感満載で、やはり任侠映画…
役者達の芝居は凄かった。評価高いの納得。
昔前の日本の警察って、こんなだったんだと頷けるリアルさ。
筆者のひとこと
現在の日本映画に対し「冷水に飛び込めよ」と訴えかけているようなそんな作品であった。
テレビドラマでは100%不可能。これが映画だ!と魂を揺さぶられる。
続編も決定しているこの作品。まだ観劇していない方は是非この機会に観て欲しい。
任侠映画だから観ない。激しいバイオレンスはちょっと…。という方でこそ観るべきだろう。観劇後には必ずジャンルを超えた感動が待っている。