クリス・ヘムズワースが主人公を演じる最新映画『タイラー・レイク -命の奪還-』(原題: Extraction)の製作舞台裏が公開された。
アクションシーンのリハーサル映像など、迫力満点の舞台裏が注目される一方で、本作に使われている「カラーフィルター」が視聴者の物議を呼んでいる。
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「イエローフィルター」とは?
まずはこちらの『タイラーレイク 命の奪還』のワンシーンをご覧いただきたい。
上が撮影時の映像、下が公開用に修正された映像だ。
画面全体が黄色っぽく編集されているのがおわかりいただけるだろうか。
一部の人はこのカラーフィルターのことを通称『メキシコ フィルター』『発展途上国 フィルター』などと呼んでいる。
これはハリウッド映画がメキシコを描く際に「いつも」黄色みがかった編集を行うからである。
アメリカ映画特有の「カラーグレーディング」
映像編集の世界では、映像の「色調や質感の調整」のことを『カラーグレーディング』と呼ぶ。カラーグレーディングは映画やドラマ製作における「最終工程」とも言える。
目的は様々だが、色や明るさの調整だけではなく、レンズの特徴をうまく引き出したり、登場人物の心情をうまく表現することも出来るため、その役割はとても大きい。
その中でも、今回クリス・ヘムズワース主演の映画『タイラー・レイク』のメイキング公開で物議を呼んだのは、アメリカ映画で『外国』を表現するために使用されるカラーグレーディングについてだ。特に発展途上国を表現する時の「イエローフィルター」(黄色っぽい色調調整)に、「差別的な意味合いがあるのでは?」という点が話題の中心に上がった。
なぜカラーフィルターをかけると外国っぽくなるのか
ハリウッド映画でしばしば使用される外国を表現するカラーグレーディングは他にもある。
アジアは緑っぽくジメジメしたフィルター、
ヨーロッパは青っぽくて薄暗いフィルター、
中東は全体的に茶色くてほこりっぽいフィルター(実際の砂埃もありそうですが)など。
外国のシーンで使用されるカラーグレーディングには「別の場所にシーンが切り替わったよ」ということを明示する目的もある。
要は、気温や湿度、日光の強さ、砂埃など「その土地の典型的なイメージ」を映像の中に表現したいわけだ。
特にロケ地での撮影が困難で、スタジオのセットなどで撮影される場合には、「セット感」を消すためになおさらフィルターが強調されることになる。
ハリウッド映画風の外国フィルターを試してみた
アメリカ映画の風習に習って、普通の街並みの画像を「外国風」にカラーグレーディングしてみた。
メキシコ・フィルター?
ヨーロッパ・フィルター?
結論:それっぽくなった。Photoshopすごい。
まとめ:土地を知り適切に表現したいですね
外国を表現する手法は、カラーグレーディングだけに限らない。
例えばサウンドトラックでも同じことが言える。
中国を表現する際には銅鑼(どら)や弦の音を使用するし、
アフリカに行けば打楽器の音とそれっぽい歌声で表現する。
もちろん、日本のドラマや映画でも同様の手法が用いられている。
「イエローフィルター」が埃っぽく衛生環境が悪い雰囲気を表現するものであれば、差別的な意味合いも含まれるかもしれないが、その国の天候や空気を知り適切に映像の中に表現することができれば、それは映画の魅力になる。
映画って奥が深いなぁ。