堺雅人、全ての役に共通する点とは?視聴率プリンスの魅力

2020年4月より新シリーズが放送予定だったTBS系列ドラマ「半沢直樹」
新型コロナウイルスの影響による放送延期が話題となっているが、本作が待ちきれない人も多いだろう。
主演の堺雅人が出演した「リーガル・ハイ」「真田丸」などのドラマは大ヒットし、今や数字が取れる俳優として不動の地位を確立している。
今回はそんな彼の出演作がなぜヒットするのか、魅力は何なのかを作品ごとに徹底解剖していきたい。

堺雅人の役に関して共通すること

決してブレることのない信念。芯の強さ

彼の役はどれも自身にしっかりとした信念を持っている。強かさ(したたかさ)とも言えるかもしれない。後述するが、代表作の「半沢直樹」、「リーガル・ハイ」、「真田丸」はどれも信念を持ったブレない主人公ばかりだ自分に芯を持ったブレない人物を演じる事で彼の右に出る者はいない。私生活でもこの「芯」を持っているからこそ、芝居にも滲み出る。演じようとして表現できるようなことではないのだ。

知性溢れる聡明さ

前述した芯の強さに相乗効果を加えるのがこの聡明さだ。彼の容姿や雰囲気からは常に知性や品格のようなものが溢れている。それもそのはず、彼は早稲田大学在学時代、演劇研究会内で「早稲田のプリンス」と呼ばれる看板役者であった。早稲田大学という高学歴な上に、甘いマスク。
聡明さを持っている俳優は本当に少ない。知性溢れた雰囲気を持つ俳優は多くいるが、それに加えこの聡明さを持つ俳優で彼の右に出るものはいないのではないか。誰とも被らない魅力が、彼がドラマをヒットさせる最大の要因となっているのだろう。

見た目の可愛さと、目が笑っていない笑顔


彼の見た目はかっこいいクールな雰囲気というより、可愛さというか、中性的な魅力がある。通常可愛さなどはそういった中身の説得力のようなものを妨げることが多いのだが、彼の場合はこのギャップがいい味を出し、さらなる魅力を産んでいる。また、彼の笑顔にはどこかしら掴めないよ恐怖のようなものがある。(個人的に)この掴めなさが一種のミステリアスさを醸し出している。

真田幸村こそ武士の生き様。大河ドラマ「真田丸」


2016年に放送された「真田丸」。大河シリーズの中でも高い人気を誇り、最高番組平均視聴率は20.1%を記録。脚本家は三谷幸喜が務め、大泉洋小日向文雄など錚々たるメンバーだ。草刈正雄演じる「真田昌幸」の台詞、「おのおの、抜かりなく」は世間でも話題となった。
筆者が堺雅人作品で最も勧めたいのが本作であり、彼の魅力が最大限に活きている。歴史マニアからの「真田幸村」支持は非常に熱く、大河を演じるにあたって相当なプレッシャーだったであろう。今まで「真田幸村」を演じた俳優も、松方弘樹、西郷輝彦、若林豪といった名俳優ばかりであった。
徳川方へついた兄や一族を想うなか、揺らぐ気持ちを噛み殺しながら豊臣方への忠誠心を貫いた姿は実に見事で非常に胸を打たれた。

堺雅人の数少ないコメディ作品「リーガル・ハイ」


本作を観ていない方には彼のコメディ作品は想像することが難しいのではないか。圧倒的な長台詞や、軽快なテンポと台詞の言い回しは彼の役者としての技術の高さを物語っている。「コンフィデンスマンJP」、「ミックス。」、「探偵はBARにいる」、「ALWAYS三丁目の夕日」、「寄生獣」、「相棒」などの数多くの名作を描く脚本家の古沢良太が脚本を務め、1話完結型の観やすいドラマ作品だ。
彼が学生時代から舞台で叩き上げてきた演技力が最大限に活かされ、普段観ることができない堺雅人を観ることができる。
ヒロインに新垣結衣を迎え、里見浩太朗、生瀬勝久など豪華俳優陣が脇を固めるなど見所は満載なので、まだ観ていない方は是非とも観て欲しい。

日曜劇場の礎を築いた「半沢直樹」

平成の民放ドラマ堂々の1位

本作は紹介するまでもないと思うが、彼の代表作でここを触れずにはいられない。
平成の民放ドラマ1位に輝き、最終回の視聴率42.2%という化物ドラマ。このドラマの独特なシーンカットと演出方法はその後の日曜劇場の基盤にもなっていった。
「やられたらやり返す、倍返しだ!」という台詞を知らない人の方が今や珍しいであろう。

日曜劇場の礎を築いた「半沢直樹」

「下町ロケット」、「陸王」、「テセウスの舟」、「ノーサイド・ゲーム」など数多くの視聴率ドラマを排出しているTBS日曜劇場。(毎週日曜9時〜)
日曜劇場の特徴として、寄りのカットとカット数の多さが挙げられる。このような演出方法は、役者の演技によって視聴者がしつこく感じてしまうことも多くあるのだが、本作は繊細な演出と脚本の力で全く気にならない。特に脚本はとにかく緻密に作りあげられており、原作の池井戸潤の脚本の面白さをドラマ脚本でも失うことなくしっかり描いている。
日曜劇場の作品からはスタッフやキャストなど熱がひしひしと伝わり、1話観終わったこちらが疲れてしまう。(いい意味で)とにかく熱量がすごいのだ。
放送延期となった本作であるが、一刻も早いコロナウイルス終息を願って首を長くして待つしかない。

今後の堺雅人の作品は?

彼の作品の共通点として、優れた脚本家ばかりだということ。脚本家のお陰だということが言いたい訳ではない。優れた脚本家が主演として抜擢したい俳優なのだ。
今や不動の人気俳優という地位に立った彼。最近はほとんどの出演作品が主演であり、今後も恐らく主演俳優として活動していくだろう。最近は作品数も減少傾向にあるが、オファーは絶えないに違いない。一つの作品に対して集中して取り組んでいこうとする彼の姿勢が、結果として露出を少なくしている要因だろう。今後の視聴率プリンスの作品は一体どんなものなのだろうか。